白内障とは
加齢白内障は、80歳を超えるとほぼ100%の人に起こる生理的な変化であり、病気と捉えるかどうかは個人の考え方によります。手術に関しても、ご自身の考えを尊重することが大切です。しかしながら、加齢白内障によって視力が低下すると、様々な問題が生じる可能性があります。
1. 白内障によって起こりうる問題点
他の眼の病気の発見が遅れる
白内障によって視界がぼやけると、他の眼の病気(緑内障、網膜疾患など)の発見が遅れることがあります。これらの病気は早期発見・早期治療が重要なため、注意が必要です。
生活の質の低下
視力低下により、趣味や日常生活に支障をきたすことがあります。例えば、読書、運転、旅行、スポーツなど、これまで楽しんでいたことができなくなる可能性があります。
転倒のリスク
視力が低下すると、足元が見えにくくなり、転倒のリスクが高まります。特に高齢者の場合、転倒による骨折は寝たきりになる原因の一つとなります。
精神的な影響
見えにくいことによるストレスや不安を感じ、うつ病などの精神疾患につながることもあります。
2. 手術以外の選択肢
白内障の進行を遅らせる点眼薬や、視力矯正のための眼鏡やコンタクトレンズもあります。これらの方法で症状が改善する場合もありますので、眼科医に相談してみることをお勧めします。
3. 定期的な眼科検診の重要性
手術を受けるかどうかに関わらず、定期的な眼科検診を受けることは非常に重要です。検診によって、白内障の進行状況や他の眼の病気の有無を確認することができます。また、眼科医と相談することで、ご自身に合った治療法や生活習慣の改善策を見つけることができます。
最後に
加齢白内障は、年齢とともに誰にでも起こりうる変化ですが、放置すると生活の質を大きく低下させる可能性があります。ご自身の考えを尊重しつつ、眼科医とよく相談し、適切な対応をとることが大切です。
白内障手術について
白内障と診断され手術加療が必要となった方、また手術加療を検討されている方へ向けて手術内容について記載させていただきます。
当院で行う白内障手術はすべて日帰り手術です。
白内障手術は、濁った水晶体を超音波で砕いて吸引します。その後、人工の眼内レンズを挿入する方法が一般的です。
手術について詳しい説明をします。
手術前に点眼麻酔を行い、角膜に2mm程度の小さな切開を加えます。そこから超音波水晶体乳化吸引器を使い、濁った水晶体を砕いて吸引します。水晶体の吸引が完了したら、空いたスペースに眼内レンズを挿入します。
※当院では検査結果に基づき、患者様と相談した上で執刀医が最適な眼内レンズを選択いたします。
このような方法での日帰り手術がクリニックでも可能となるまでには、技術が大きく向上する必要がありました。本邦における飛躍的な技術の進歩には、手術方法の確立も一因として挙げられますが、より安全に手術を行うために先代の医師たちが奮闘し、技術を磨いて発達した手術機器を使いこなしてきたことが大きく寄与していると考えております。
当院で行う日帰り白内障手術も、安心・安全に受けていただけるように、日々研鑽を重ねております。
白内障手術の流れ(一例)
こちらでは白内障手術の一般的な流れをご紹介いたします。
1. 診察・診断から手術日の決定
診察の結果、白内障手術が必要と診断されると、手術日を決定します。
両目を手術する場合は、片目の手術から1週間後の同月をお勧めしていますが、患者様のご希望に合わせて柔軟に対応いたします。(※1)
手術日が決まりましたら、術前検査と手術説明会の日程を決めます。手術日程によっては、同日に検査・説明会・手術を行うこともございます。
手術内容や術前後の注意事項の説明に1時間程度の時間を要します。
(※1)高額療養費制度の対象となりやすいように、同月内の手術をおすすめします。
2. 手術3日前から手術前日までの過ごし方
手術3日前
手術の3日前から、処方された抗生剤の点眼を1日4回(朝・昼・夜・寝る前)、手術を受ける方の目に点眼して下さい。
また、普段から使用している緑内障などの点眼薬は、いつも通りご使用ください。内服薬についても普段通り服用していただいて問題ありません。
手術前日
必ず入浴をしてください。手術当日は、ご自宅で入浴・洗髪・洗顔ができませんので前日までに済ませておいてください。
食事に関しては特に制限はありません。
3. 手術当日
手術当日
手術当日は、決められた時間までに必ずご来院ください。
来院時間は説明会でご案内いたします。手術開始時間ではなく、来院時間ですのでご注意ください。
手術自体は通常、10分程度で終了します。(※2)
(※2)消毒や準備時間を含めて、20分程度でご退室いただけますが、個人差があります。詳しくはご相談ください。
手術後
手術後は当院のリカバリールームでしばらく安静にしていただきます。
眼軟膏を点入し、眼帯を装着して帰宅していただきます。片目が見えない状態になりますので、可能であればご家族に同伴していただき、注意してご帰宅ください。
手術の翌日は必ず受診していただきます。その後、手術から1週間以内に2~3回の診察、その1週間後に1回の診察を受けて下さい。以降は症状に応じて最低3か月間は通院が必要となります。
また、当院で手術を受けられた方には術後の洗髪サービス(1回無料)を実施しています。不快感を軽減できるため、ぜひご利用ください。
日帰り眼科手術に関する注意事項
- 手術の順番や内容によりますが、当日の滞在時間が2~3時間程度かかることがあります。その間、患者様は外出できませんのでご注意ください。
- 手術時の服装は原則自由ですが、心電図や血圧計を装着するため、薄手の肌着になれる状態でお越しください。
- 消毒薬で襟元が汚れる可能性がございますので、汚れても問題ない服装でお越しください。
- お化粧やマニキュアなどはご遠慮ください。
- 食事内容に制限はありませんが、術前後は外出できませんので、来院前に軽く済ませておいてください。
- 手術終了後に付き添いの方への連絡が必要な場合は、スタッフにお申し付けください。
- 手術当日と翌日はご自身で運転できませんので、公共交通機関を利用するか、ご家族の方に送迎をお願いしてください。
当院で使用する眼内レンズ(IOL)について
白内障の手術では、濁った水晶体を取り除いた後、代わりに眼内レンズ(IOL)を挿入します。眼内レンズには「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」の2種類があります。
単焦点眼内レンズ【保険適応】
一つの距離にピントを合わせる眼内レンズです。ピントを合わせたい距離を予め決めておき、手術を行います。ピントを合わせた距離以外のところは、眼鏡でピントを調整します。
- 遠くを眼鏡無しで見たい場合は、遠くの距離にピントの合う度数の眼内レンズを選び、手術をします。手元は裸眼では見えませんので、術後に老眼鏡を作って、近方にピントを合わせるようにします。
- 近くを眼鏡無しで見たい場合は、手元にピントの合う度数の眼内レンズを選び、手術をします。遠くは裸眼では見えませんので、術後に眼鏡(近視の眼鏡と同じです)を作って、遠方にピントを合わせるようにします。
近くを見たいといっても、スマートフォンとコンピュータでは距離が違いますし、また患者さんによっては楽譜をハッキリ見たいとか、料理の時の手元をしっかり見たいというような方もおられます。手術前に、ご自身の希望をお伝え下さい。それに応じて眼内レンズの度数を調整します。
また、遠くをハッキリ見たいといっても、車の運転と、3m先のテレビでは距離が違ってきます。やはりご自分の希望を手術前に決め、主治医にお伝え頂くことが大事です。
ただし、片眼だけ手術をするのか、両眼手術をするのかで、度数合わせが変わってくることがあります。片眼手術の場合は、手術をしない方の眼とのバランスが重要だからです。主治医の先生とよくご相談下さい。
単焦点眼内レンズのピント合わせ
近くを見る時にはピントが合う → 遠くを見る時にはピントが合わない
遠くを見る時にはピントが合う → 近くを見る時にはピントが合わない
乱視矯正眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)【保険適応】
乱視を矯正する機能を持ったレンズで、トーリック眼内レンズといいます。単焦点のトーリック眼内レンズと、多焦点のトーリック眼内レンズがあります。
トーリック眼内レンズで乱視を矯正することによって、手術後の裸眼視力が良くなります。
単焦点のトーリック眼内レンズは健康保険でカバーされますので、通常の白内障手術の費用で手術を受けることができます。ただし、もともと乱視の無い方には必要の無いレンズです。トーリック眼内レンズの適応になるかどうかは、主治医の先生が判断されますので、患者さんはあまり気にする必要はありません。
多焦点眼内レンズ【選定療養費適応】
3焦点眼内レンズ
3焦点眼内レンズとは、主に白内障手術で使用される人工レンズです。遠方(5m〜)、中間(60〜70cm)、近方(40cm)の3箇所にピントを合わせることで、運転やパソコン作業、読書などを眼鏡なしで快適に行える可能性が高いのが特徴です。
代表的なレンズと特徴
日本で広く使用されている代表的な3焦点レンズには、アルコン社の「クラレオンパンオプティクス」があります。
- 遠方(約5m以上):運転、スポーツ観戦、景色の観察など
- 中間(約60cm〜70cm):パソコン作業、テレビ鑑賞、料理など
- 近方(約40cm):スマホ操作、読書、裁縫など
メリットとデメリット
メリット:
- 眼鏡依存度の軽減:術後に眼鏡やコンタクトレンズを使用する頻度を大幅に減らせます。
- 連続した見え方:距離の異なる3点にバランスよく光を分配するため、スムーズなピント移動が可能です。
デメリット・注意点:
- ハロー・グレア現象:夜間に街灯や対向車のヘッドライトを見た際、光の周りに輪(ハロー)がかかったり、滲んだり(グレア)して眩しく感じることがあります。
- コントラスト感度の低下:単焦点レンズと比較すると、明暗の差を識別する能力が若干低下し、ややぼやけたように感じることがあります。
多焦点眼内レンズ「焦点深度拡張型(EDOF)」
多焦点眼内レンズの「焦点深度拡張型(EDOF)」は、遠くから中間距離(パソコン作業など)まで連続してピントが合うように設計されたレンズです。光を複数の点に分散させないため、夜間の光のにじみ(ハロー・グレア現象)や見え方の低下が少なく、自然な見え方が得られます。
焦点深度拡張型(EDOF)レンズの特徴
- 見え方の質: 光を遠近に割り振る従来の多焦点レンズに比べ、単焦点レンズに近い非常にクリアで自然な視界が得られます。
- 適した距離: 遠方(運転や景色)から中間(パソコンやテレビ、料理)までカバーします。
- 注意点(デメリット): 手元の細かい文字(スマホや読書など、50cmより近い距離)は見えにくくなることが多く、その場合は老眼鏡の補助が必要になる傾向があります。
多焦点レンズの比較
| レンズの種類 | 特徴・メリット | 近くの見え方 | ハロー・グレア |
|---|---|---|---|
| 焦点深度拡張型 (EDOF) |
遠く〜中間が連続して見え、夜間の光の散乱が少ない。 | △(老眼鏡が必要な場合あり) | 少ない |
| 3焦点レンズ | 遠く・中間・近くの3箇所に焦点が合う。 | ◎(眼鏡に頼らず生活できる割合が高い) | 少し起こりやすい |
もし白内障手術や眼内レンズの検討を進めるのであれば、以下のような詳細を教えていただくと、より具体的な情報や注意点をお伝えできます。
- ご自身の生活スタイル(運転をよくするか、手元の細かい作業が多いかなど)
- 現在の視力の状態やその他の目の疾患の有無
ご希望の治療法やご不安な点があれば、ぜひお知らせください。
多焦点眼内レンズ価格表
多焦点レンズは、選定療養費が適用となります。白内障手術の費用は保険診療でカバーされますが、多焦点レンズ代と追加検査代が自費となり、追加費用をお支払いいただくことになります。
| モデル名 | 片眼レンズ代(税込み) |
|---|---|
| クラレオン パンオプティクス | 330,000円 |
| クラレオン パンオプティクス トーリック | 380,000円 |
| クラレオン ビビティ | 330,000円 |
| クラレオン ビビティ トーリック | 380,000円 |
| ビビネックス ジェメトリック | 330,000円 |
| ビビネックス ジェメトリック トーリック | 380,000円 |
※ 別途、上記費用に加えて手術費用がかかります。
※ お支払いについて、手術日当日にクレジットカード払いが可能です。
■ 選定療養費について
選定療養とは、保険適用の治療と保険適用外の治療を併用するために、追加費用を負担する制度です。選定療養費は、医療機関の機能分担を推進するために、厚生労働省が定めた制度に基づきお支払いいただく費用です。患者様が選択した結果として生じる保険診療以外の費用を指します。
選定療養費には、次のようなものがあります。
- 初診時選定療養費
- 再診時選定療養費
- 時間外選定療養費
- 長期収載品の選定療養費
選定療養費の導入目的は、軽症の患者様が外来診療を頻繁に受けることによって、医療従事者の負担が重くなることを防ぐことです。特定療養費の対象となる場合や、免除される場合などは医療機関によって異なります。
■ 多焦点レンズと選定療養費
2020年4月より、保険外併用療養費制度内の「選定療養」という枠組みで、多焦点レンズを使用した白内障手術が実施できるようになりました。
これまでは単焦点レンズを使用した白内障手術が保険の適応となっており、費用は約15万円に0~3割の自己負担比率を掛けた額でした。現在では多焦点レンズ代と追加検査代を自費でお支払いいただくことで、多焦点レンズをご使用になれるのです。
白内障手術 当院のこだわり
当院では、患者様一人ひとりに最適な治療を提供することを最優先に考えています。白内障手術においても、最新の医療技術と設備を駆使し患者様の視力回復をサポートいたします
経験豊富な医師による執刀
なにかあればすぐに関連病院にも紹介可能
最新技術の導入
当院では、最新の機器を使用した精密な検査と手術を行い、安全で高精度な白内障手術を提供しています。
眼内レンズ選択へのこだわり
白内障手術における眼内レンズの選択は、術後の視力だけでなく、患者様の満足度を大きく左右する重要な要素です。
当院では、Alcon社の最新機器ARGOS® Ver.1.5とVERIONを導入し、患者様一人ひとりに最適な眼内レンズの選択をサポートしています。
ARGOS® Ver.1.5
特徴
- 高度なSS-OCT技術により、眼軸長測定を迅速、簡単、高精度に行うことが可能。
- 白内障が進行した状態でも高いデータ取得率を実現。
- 独自のセグメント方式により、より正確な眼軸長データを計測。
メリット
- 正確な眼軸長測定により、最適な眼内レンズの度数選択が可能。
- 手術時間の短縮、患者様の負担軽減。
VERION
特徴
- 手術前の検査データを基に、手術中の切開位置、眼内レンズの軸・固定位置、乱視矯正眼内レンズの軸などをデジタル表示。
- 血管認証システムにより、手術当日に乱視軸を正確に測定。
メリット
- 高精度な手術により、術後の視力矯正効果を最大限に引き出す。
- 乱視矯正レンズの正確な位置合わせにより、乱視矯正効果を向上。
安心のサポート体制
手術前から手術後のフォローアップまで、患者様が安心して治療を受けられるよう、経験豊富な医師とスタッフがしっかりサポートします。
最後に
白内障手術後の見え方は、眼内レンズの種類によって大きく異なります。当院では、患者様にご納得いただけるよう、十分な説明と検査を行い、最適な眼内レンズ選びをサポートいたします。ご不明な点やご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。
