ドライアイについて
涙は人の目を守るバリア機能としてとても大切です。
ドライアイは涙が少なくなることで目の表面のバリア機能が低下し、目が乾きやすくなり、目の表面に傷がついてしまう疾患です。
日本のドライアイの患者数はおよそ2,200万人以上いるとされており、約半数は50代以上で占められています。しかし、近年ではパソコンやスマートフォンの普及により長時間使用することで、若年層の方も発症することが多くなってきました。

ドライアイの症状
ドライアイは、初めから「目が乾燥している」と感じることは少なく、むしろ「目が疲れやすい」、「異物感がある」、「充血する」、「光に敏感になる」、「コンタクトレンズが不快である」、「視界がぼやける」といった多様な症状によって認識されることが一般的です。これらの症状が重なり合うことで、日常生活の質が低下することがドライアイの診断基準において最も重要な要素となっています。
ドライアイの原因には、湿度や花粉、PM2.5などの環境要因、食生活、喫煙、運動、モニターの使用時間、コンタクトレンズの長時間装着といった生活習慣、さらには加齢、性別(特に女性)、遺伝、家族歴などの宿主因子が複合的に関与し、ドライアイの発症やその経過に影響を与えます。
ドライアイの種類
ドライアイは発症原因によって大きく2つに分類されます。
涙が蒸発しやすくなっておこる「涙液蒸発亢進型ドライアイ」と涙の量が減少しておこる「涙液分泌減少型ドライアイ」があります。
また、最近は涙の質が不安定になっておこる「BUT短縮型ドライアイ」にも注目が集まっております。
● 涙液蒸発亢進型ドライアイ
涙の水分の蒸発を防ぐ油層に異常が生じることが原因で起こります。
長時間のパソコン作業、コンタクトレンズの長時間装着、エアコンによる乾燥など環境要因によっておこり、患者数は徐々に増加しております。
マイボーム腺とドライアイ
上下まぶたの裏側には「マイボーム腺」という脂を分泌する器官があります。この脂は涙の水分の蒸発を防ぐ働きがあります。このマイボーム腺がうまく働かなくなると脂が不足し、涙が蒸発しやすくなります。
このマイボーム腺の機能が低下する病気を「マイボーム腺機能不全」といい、ドライアイの患者様の80%以上は「マイボーム腺機能不全」といわれております。
※マイボーム腺機能不全
- 症状:
- 眼が疲れやすい、ごろごろする、目やにがたまっている気がする、目の周りが痒い、ものもらいができやすい、など多様な目の周りの不快感を起こします。
- 原因:
- 加齢、脂質の多い食事、メタボリックシンドローム、喫煙、コンタクトレンズの長時間装用、アイメイクの落とし残し
● 涙液分泌減少型ドライアイとは
通常は反射性に分泌される涙液が分泌されなくなり、眼表面に傷がつき、常に乾燥や異物感などの症状がおこります。
リスク因子は加齢、降圧薬、抗うつ薬、糖尿病性網膜症、ストレス、シェーグレン症候群などがあります。
ドライアイの治療
当院では一般的な点眼治療以外にも、「マイボーム線機能不全」の治療を必要とする場合にIPL(Intense Pulsed Light)治療も併用します。
当院で行っているIPL治療は、2023年のマイボーム腺機能不全治療ガイドラインでも推奨するとされ、国内外で認められています。IPL治療は、特殊な光をあてることでマイボーム腺の詰まりを解消し、炎症を改善、涙の油層を正常化しドライアイを改善することができます。
※IPL治療は自費診療です
● IPL治療(ステラM22)
部位 | 回数 | 料金 |
---|---|---|
ドライアイ | 1回 | 8,800円 |
※1回でも効果を得られることがありますが、推奨される治療回数は2~4回です。
※1回の照射後、およそ1ヶ月の期間をあけて次回照射となります。
IPL治療の注意事項
- 涙液分泌減少型ドライアイの方には適しておりません。
- 自費診療のIPL治療をご希望の際は前もって眼科での診察が必要となります。
- 同じ日に保険診療と自費診療を受けることはできません。
- 治療後、肌に軽度の赤みや腫れが見られることがありますが、通常は数時間以内に収まります。
- 痛みについては個人差がありますが、輪ゴムで軽く弾かれる程度の感覚を想定してください。
- 施術後の痛みはほとんど感じられませんが、皮膚が敏感な方は一時的にヒリヒリ感を覚えることがありますが、ほとんどの場合、翌日には改善します。
- 治療後の2週間は、日中外出時に必ず日焼け止めを使用してください。
- 治療当日からは、洗顔や入浴、メイクを行うことが可能です。
- 治療直後に肌の赤みや軽度の腫れ、ヒリヒリ感が生じることがありますが、重篤な副作用は現在のところ報告されていません。